私のうしろには。
ある日の午後に
ワイン仕入元の担当者さんが
立ち寄ってくれて、ワインを試飲しながら
生産者やフランスや世界情勢や今後の予測や
ブルゴーニュや品種、酵母etcetc・・・いろんな話をしました。
ワインをクンクンしながら
グラスをスワリングしながら
数種類を試飲させていただいたなかで
印象的だった言葉をひとつ書き残します。
彼はこう言いました。
生産者がワインを入れるガラス瓶やコルクを
『容器』ととらえるか、『ワインの一部ととらえるか』で
熟成の姿はかわる。
この言葉は
ブルゴーニュの白ワインを試飲しているときに
発せられました。
ブルゴーニュの白ワイン。
その黄金の液体からは
オイリーな、ナッティーな香りが立ち上っていて
その香りの中で息をするだけで
もう期待が高まるしかない香り。
ミニミニ・ピュリニー・モンラッシェみたいな。
この香りと味わいでそのお値段なら、
もう買いでしょう!という味わい。
担当者さんは年明けに渡仏して
いろんな生産者に会って話を聞いてきたとのこと。
その時に生産者が発したことを
私に伝えてくれたのでした。
生産者がワインを入れるガラス瓶やコルクを
『容器』ととらえるか、『ワインの一部ととらえるか』で
熟成の姿はかわる。
一般的にブルゴーニュのワインは
熟成が可能です。
5年くらいは平気、平気!
作柄と畑と生産者の腕が揃えば
20年くらいは保(も)つかも。
いーや、もう少し、保つかも。
そのくらいの長い期間の熟成に耐えるワインをつくり、
たとえば親から子へ引き継いだときに
ちゃんと良い状態であるように、
瓶やコルクも真剣に考えねばならない。
良い瓶、良いコルクを使えば
コストはもちろん、かかるけれど
何年も何十年も熟成させたのに、
瓶やコルクが原因でダメにしてしまっては
その間の時間の取り返しがつかない。
ということもおっしゃっていたようです。
この生産者は
いちばん最後にワインを手にする人の
人生を想像して仕事をしている。
そう、思いました。
その日はいい話が聞けて、
私の担当者が、どんなフィーリングで現地で
生産者と対峙しているのかを知って
とても嬉しくなりました。
ワインの歴史は長いです。
紀元前までさかのぼります。
その間に、世界各地で戦争もあり、
不況もあり、物流も不完全な時代を経て、
いまがあります。
どんな困難があっても、
それでも人がワインを飲み続ける、
飲み続けてきた理由。
愛されている理由。
それはきっと。
人が造っていて、人が伝えるから
ワインは味わい深く、美味しいからだ。
あっ、いま、気がついた!
「美味しい」って
美しい味って書くんだナ!
ものを造る人の愛。
美しい味。
あ~~~~~もう!
毎日、何かしら発見があって
楽しい!
S・hamada
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